Regulation ~ 信頼と誠実
T.K.
昨今、大手自動車メーカーの不祥事が相ついでいる。かつて乗り物全般の内装材の開発・提供を行っていた小生にとっては、誠に残念でならない。
安心・安全・快適を希求する乗り物にとって、レギュレーション(規則・規定・制限)のクリヤーは不可欠。
小生のリタイヤー前の二十数年は、乗り物の中でも鉄道関係の仕事が主体で、とくに資材の防炎性能クリヤーは必須であった。
そこで数多くの試験項目の中から、この防炎性にスポットをあて、暫し考えてみたい。
防炎性については、火災事故(乗り物に限らず)の度に、各種防炎基準の見直し・改定が図られてきた。
◎1972年11月6日:北陸トンネル火災事故
⇒これにより車両材料燃焼試験(45度法)が翌年、制定される。
◎1990年3月18日(日):長崎屋尼崎店の火災
ちょうど塚口教会の礼拝後、近隣から出動した消防車が凄まじかったのを記憶している。
⇒衣料売り場のアクリルセーターへの着炎による
HCNガス(シアンガス)の猛毒性がクローズ
アップされる。
◎2003年2月18日:韓国大邱(テグ)地下鉄
放火事件
⇒車両の一部の材料が、難燃性および極難燃性レベ
ルから不燃性レベルに引き上げられた。
日本全国でJR・民鉄の保有車両数は凡そ5万両と
推定される。
鉄道は乗用車とは異なり、不特定多数の人々に利用
される公的な乗り物である。単なる移動空間ではなく
快適空間として、また公共機関としての都市への調和
など鉄道の社会に果たす役割は今後益々重要となっ
てくる。
大前提として≪安心・安全≫ が最重要である。
従ってこれらの全ての資材に関わる納入業者・車
両メーカー・電鉄各社etc.の人々は、自己の良心をもって自己の誠実さを全うしなければならない。
ましてやレギュレーションにおけるデータの改竄・
捏造など、以ての外であろう。
「信頼と誠実」 とは、どこかの会社の社是だったと思うが、おそらく顧客に対する企業側のスタンスを説いたものであったろう。
そんな大袈裟なものではなく、小生も残りの人生
を「誠実さ」 を常にもち、他者からの「信頼」を得、
コツコツと着実に歩んでいきたいと思う。